練習方法・理論

ランニングにより筋肉は落ちる・減るか

「ランニングをしている人って筋肉が落ちてしまうんですよね?」という質問をたまにされます。

事実としてランニングなどの有酸素運動においては、自分の筋肉をエネルギーに変えてしまうという面は否定できません。「運動をしているのに筋肉が落ちる?」というのはどういうことでしょうか。また、ランニングによる筋肉を落ちることの防止策はあるのかということをまとめていきたいと思います。

ランニングにより筋肉が落ちるか

ランニングにおいては、肝臓で作られる炭水化物由来のグリコーゲンと、筋肉に蓄積されているBCAAというアミノ酸由来のグリコーゲンが同時に消費されます。筋肉中のBCAAが減ることは、筋肉を破壊(消費)してしまうことを意味しますので、「ランニングにより筋肉が落ちる」というのは一定の合理性があります。

適切にランニングを行っていれば、ランニングによる筋肉の減少は最小限に食い止めることが可能ですが、「ランニング=筋肉が落ちる」という論理が強調されてしまっているのは以下2つの理由があると思われます。

ポイント

①ダイエットをランニングの目的にしている方が多く、空腹時など不適切な栄養状態でランニングをしている方が存在 
 ⇒ランニングの結果として筋肉が落ちてしまう
②そもそも筋肉の維持には一定程度の筋トレ(もしくは無酸素運動)が必要 
 ⇒ランニングを好む方は、多くの時間をランニングに使っているため、筋トレ(無酸素運動)にかける時間が不十分になっている

ランニングの際のコンディション(時間や空腹度)の調整に加え、「筋肉を維持するには、ランニングの有無に関わらず、無酸素運動(=筋トレ)が必要だ」という大前提を理解した上で、正しくランニングを行うことで、筋肉を守っていく意識が必要だと思います。

ランニングによる筋肉が落ちる量を最小限に抑えるには

ランニングによって消費される筋肉を最小限に抑えるには、筋肉に蓄積されているBCAAの消費を最小化するということが基本戦略となります。

空腹時にランニングをしない

ランニングにおけるBCAAの消費を最小化するために最も気をつけるべきことは、「空腹時に走らない」ことです。

ランニング時の最大のエネルギー供給源は、肝臓で生成されるグリコーゲンです。肝臓で生成されるグリコーゲンは、炭水化物を充分に摂取できていないと不足してしまい、筋肉中のBCAAから生成されるグリコーゲンを消費してしまいます。

したがって、ランニング時に筋力を維持するためには、練習の3-4時間前にしっかりとした食事を摂るということが非常に大切です。間違っても「脂肪を落とすために何も食べないで走ろう」とは考えないようにしてください。

ただ、大学生や実業団などのエリートランナーを中心に朝食前の「朝練」を組み入れているケースが多くあります。ケニア人なども「朝練」主体でトレーニングを積んでいます。これは、敢えてグリコーゲンが不足している朝食前にトレーニングをすることで、レースの後半に粘れる体作りを目指していることが理由です。

おそらく筋肉栄養素(つまり筋肉の破壊)という観点からは悪影響があると思いますが、エリートランナーは悪影響分を補強トレーニングなどで補っているという整理になると思います。

ランニング前にBCAA濃度を高めておく

次に、これはどこまで効果があるか私は懐疑的ですが、ランニング前に筋肉中のBCAA濃度を高めることで筋肉が分解されにくい体にしておくという方法があります。BCAAはアミノ酸の1種です。「ランニング前にアミノバイタルのスティックを飲むとパフォーマンスが上がる」という論理の根拠がここにあります。

スポーツ整形外科医で自身もサブスリーランナーである諏訪通久先生はBCAAについて、以下のポイントを指摘しています

諏訪通久先生のBCAAに関する指摘

  • BCAAは最も重要なアミノ酸の1つ
  • BCAAは筋肉中に蓄えられており、強度の高い運動をした際にエネルギーとなる
  • BCAAはタンパク合成を促進し、筋肉の分解を抑えるため、インターバルなど高強度の練習における筋肉損傷を防止し、疲労回復につながる
  • その他の効果として、BCAAは脂肪燃焼の効率化や、乳酸産出抑制効果があり、マラソン後半での失速が予防できる。加えて、免疫強化の効果もあり、体調管理にも効果あり

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私としては、アミノバイタルのようなアミノ酸スティックをランニング前に飲むことで、どこまで筋肉の減少を抑えられるかというのは、アミノ酸スティックに含まれるBCAAの量的視点から懐疑的です(所詮3-4gなので)。したがって、私は20-30キロのロングランニングの前と最中にのみアミノ酸スティックを飲むようにしています。

ランニングの距離を見直す

1日10キロのランニングであれば、筋肉中のBCAAが不足し筋肉の減少がハイペースで進んでしまうという事態は避けられそうです(諸説ありますが12-15キロぐらいから危なそう)。

ランニングによる筋肉の減少を気にする方は、極力ロングランニングは避けて、5-10キロ程度のランニングを継続するのが良いと思います。

ランニングによる筋肉の減少を補う

ランニングによって筋肉が減少してしまうことは避けられない以上、筋トレや無酸素運動により以下のような状態にしていくことが必要です。

ランニングによる筋肉の減少 < 筋トレや無酸素運動による筋肉の増加

具体的な方法論としては、ジョギングの後にダッシュを繰り返すインターバルトレーニングを取り入れたり、腹筋やスクワットなどの補強トレーニングをすることが有効です。

ランニングにおいては、足の筋肉はそれなりに鍛えられているはずであり、仮説的には腹筋や背筋、腕や肩周りの筋肉がより減少してしまいそうです。時間がなくても最低限ランニング後に100mのウインドスプリントを3-4本と、腹筋の筋トレはするなど、トレーニングを工夫すると良いと思います。

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  • この記事を書いた人

KOTA

戦略コンサル業の引退を機に2020年(34歳)より本格トレーニングを再開。 マラソン3時間12分39秒、5000m17分53秒だった私が、30代後半でマラソン2時間30分切り、5000m14分台、1500m3分台の全ての達成を目指す挑戦を記していきます。

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