練習方法・理論

この半年間なぜ5000mで飛躍できたか? ①レースにおける2000m意識

この半年で5000mのレースで7度、合計50秒の社会人PB更新(17分49秒→16分59秒)という成果が出たのは、①レース中のメンタル的な部分の改善、②トレーニングメニューの組み方の改善、③1500mの取り組みがあると感じています。

今回はレース中のメンタルコントロールの1つとして強く意識している、「2000m意識」を深堀りしたいと思います。

これは環太平洋大学の吉岡利貢コーチが、「2,000m単位の考え方」を紹介していた記事を読んで、今年から取り入れてみたアプローチです。

5,000mのレースにおける効果としては、3,000-4,000mの大幅なペースダウンがなくなり、レースが非常に安定してくるようになりました。

長距離走においては1,000mの意識が強い

マラソンや、トラック競技においては1,000m/1km単位で距離とタイムを意識することが多いです。これは長距離走の練習が、1,000mのインターバル走を3~10本など、1,000m単位で組まれることが多いのが1つの理由と思います。

5,000mのレースにおいては、最もキツい3,000-4,000mのタイムの落ち込みを抑えることが重要であるというのが定説です。以下のような走り方をしている(というか結果としてなってしまっている)ランナーも多いのではないでしょうか。

ポイント

  • 1,000mは気持ちよく通過できる
  • 2,000mでは余裕があるが、脚が重くなり始める
  • 3,000m迄はなんとか頑張れたが、3,000mの到達点が1つめのゴールとなってしまい、3,000-4,000mのラップがガクッと落ちる
  • 4,000m以降はなんとかもがき、ラスト1周を頑張ることで、2,000-3,000mのラップまでなんとか持ち直す

私はこの2年ほど高校生が主体である地域の記録会にも出ていますが、特に5000mを走り慣れていない高校1,2年生などは、このパターンが非常に多いと思います。(顧問の先生や先輩にレベルの高い設定タイムを押し付けられているのかなと思います。かく言う私も高校時代までは3,000m-4,000mのペースがガクッと落ちてしまいがちでしたが)

5,000mのレースにおいて2,000m単位を意識することの有効性

5,000mにおける後半の走り方に悩みを感じている方にとっては、5,000mのレースを1,000m×5ではなく、2,000m-2,000m-1,000mのレースと考えることが有効だと思います。意識の持ち方を少し変えるだけで、後半のペースダウンを最小化することが可能です。

2,000mを最初のチェックポイント、2,000-4,000m区間を次のまとまりと考えることで、3,000mを「単なる通過点」ととらえることができるようになります。2回の2,000mを走り終えた4,000m地点=残り1,000m地点ですから、4,000m地点では「あと1,000mしかない」と考えられる環境を作り出すことが可能です。

結果として5,000m走における最大の鬼門である3,000-4,000mのペースダウンを防ぐだけでなく、4,000mまでをほぼイーブンペースで走った上で、ラスト1,000mを一番速いラップでゴールできることも多くなります。この走り方ができるようになると、狙ったレースで大きく外さなくなるというメリットもあります。

さらに吉岡利貢コーチの研究によると、「5000m走では1000-2000mでペースを落とさないことが好結果につながる」という指摘もあります。「入りの1000m」ではなく、「入りの2000m」という考え方を採用することにより、1000-2000mのペースダウンを防げるというのも「2,000m意識」論の重要なポイントなのだと思われます。

私は5,000mのレースでこの「2,000m意識」を取り入れてから、5,000mのレースが大幅に壊れてしまうことがほとんどなくなりました。

練習を2,000m単位で組むことで、2,000m単位の意識を強める

とはいえレース本番だけこの「2,000m意識」を持つというのは、非常に難しいです。

そこで練習から2,000mのインターバル、2,000m毎のペース管理・ペースアップなどを取り入れることにより、3,000mや5,000mのレースにおいて自然と「2,000m意識」を持つことが重要だと思います。

2km単位の考え方はマラソンでも有効

この考え方は、マラソンなどの長丁場でも有効です。42.195キロを走り切るマラソンにおいて、1キロごとのラップを確認するのは多すぎると思います。

1キロごとのペースや距離表示に一喜一憂してしまうことは、脳内でのエネルギー浪費にも繋がります。そこで「2キロ意識」に基づき、ペース確認の頻度を減らすというのはエネルギー消費の最小化という観点からも非常に有効だと思います。

精神的な面からも、30キロ以降「あと1キロ頑張ろう」を12回繰り返すのはつらいですが、「あと2キロ頑張ろう」を6回と考えると楽になる部分も多いと思います。

シカゴマラソンで大迫傑選手が日本記録を出した際のインタビューと解説コメントで以下のようなシーンがありました。

「キツいときに、あと1マイル付こうと思いながら走った」(大迫傑選手:ゴール後のインタビュー
「(日本人が1キロで考える中)マイルで考えることに大迫選手の強さを感じます」(前日本記録保持者の高岡寿成さん:解説コメント)

高岡寿成さんのコメントの真意はわかりかねますが、1キロを意識する多くの日本人選手に対して、1マイルを意識する大迫傑選手は意識する距離が普通の日本人選手と比べて長いという意味もあったのではないかと考えられます。

この2000m理論ですが、一緒に練習しているメンバーに共有したところ、ポジティブな意見が多かったこともあり、「なぜ5000mで飛躍できたか?」を考える上での最初のポイントとして挙げさせていただきました。

  • この記事を書いた人

KOTA

戦略コンサル業の引退を機に2020年(34歳)より本格トレーニングを再開。 マラソン3時間12分39秒、5000m17分53秒だった私が、30代後半でマラソン2時間30分切り、5000m14分台、1500m3分台の全ての達成を目指す挑戦を記していきます。

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