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MGCマラソングランドチャンピオンシップ won by 中村匠吾

MGCという初めての試みが終わる

史上初めて開催されたマラソンオリンピック代表の一発選考会MGC(マラソングランドチャンピオンシップ)が9月16日に開催されました。優勝者は、筆者も注目していた富士通の中村匠吾選手でした。卒業後もコーチを務めている駒澤大学大八木監督との抱擁が感動的でしたね。

さて、私は昨日田沢湖マラソンを走っており、リアルタイムでテレビ/現地観戦をすることは叶いませんでした。しかし、気になって仕方なかったことから、やむなくTBSラジオでMGCを視聴しながら走りました。

実況を聞きながら、「佐藤悠基頑張れ、設楽頑張れ、鈴木健吾マジで頑張れ」と思いながらも、最後はやはり「大迫3位以内に絶対入れー!」と思いながら田沢湖マラソンを走っていました。(余計なエネルギーを使ったのか田沢湖マラソンはイマイチでしたが...)

映像では見えなくても、沿道がものすごい声援だということはよく伝わってきました。箱根駅伝を卒業したランナーたちが、マラソンに活躍の場を移し、日本中から注目されるレースを走ることができるというのは素晴らしいですね。

渡辺康幸さんはMGCの解説をされる中で「このような選考がいつまで続くのかわかりませんけども」と言っていましたが、陸連には是非ともこのMGCによる一発選考を継続してほしいと思います。一時期言われていたトップランナーが「箱根駅伝燃え尽き症候群」に陥ることを防止し、「あの場で勝ってオリンピックでマラソンを走りたい」という選手を数多く輩出し、日本長距離の層を更に厚くする、そんなポテンシャルを秘めた大会ではなかったかと思います。

レースの詳細の展開などはライブでは見れていませんので、各選手の結果とコメントをまとめたいと思います。

MGCの結果

1着 中村匠吾(富士通)2時間11分28秒
2着 服部勇馬(トヨタ自動車)2時間11分36秒
3着 大迫傑(Nike)2時間11分41秒
4着 大塚祥平(九電工)2時間11分58秒
5着 橋本峻(GMOアスリーツ)2時間12分07秒
6着 竹ノ内佳樹(NTT西日本)2時間12分31秒
7着 鈴木健吾(富士通)2時間12分45秒
8着 中本健太郎(安川電機)2時間12分46秒
9着 藤本拓(トヨタ自動車)2時間13分58秒
10着 岡本直己(中国電力)2時間14分55秒
11着 上門大祐(大塚製薬)2時間15分08秒
12着 山本浩之(コニカミノルタ)2時間15分52秒
13着 河合代ニ(トーエネック)2時間15分56秒
14着 設楽悠太(ホンダ)2時間16分09秒
15着 堀尾謙介(トヨタ自動車)2時間16分21秒
16着 山本憲二(マツダ)2時間16分44秒
17着 神野大地(セルロース)2時間17分40秒
18着 木滑良(MHPS)2時間18分51秒
19着 谷川智浩(コニカミノルタ)2時間18分56秒
20着 岩田勇治(MHPS)2時間19分45秒  
21着 村澤明伸(日清食品)2時間19分52秒
22着 福田穣(西鉄)2時間19分55秒
23着 佐藤悠基(日清食品)2時間20分13秒
24着 藤川拓也(中国電力)2時間20分35秒
25着 今井正人(トヨタ自動車九州)2時間21分15秒
26着 園田隼(黒崎播磨)2時間21分51秒
27着 井上大仁(MHPS)2時間22分10秒
DNF 高久龍(ヤクルト)
DNF 荻野皓平(富士通)
DNF 宮脇千博(トヨタ自動車九州)
DNS 一色恭志(GMOアスリーツ)

レース後各選手のコメント

1位 中村匠吾選手
40kmぐらいで仕掛けられるのがベストかなと思っていて、実際にうまく仕掛けられたのでよかったです。(一時大迫選手に追いつかれたが、)ラスト800mぐらいでまた坂があることを認識していて、そこがまた勝負になると思っていたので、落ち着いて走れたと思います。

中村匠吾選手(朝日新聞)

2位 服部勇馬選手
(大迫選手との2位争いについて)大迫選手が後ろを振り返っているのを見て、結構キツイんだろうなと。自分は足が残っている自信があった。僕もきついけど、大迫さんもきつい。無我夢中で走った。大迫さんを抜いたことはよく覚えていない。気がついたらゴールだった。(設楽選手が飛び出したことについて)冷静でいられなかった。でも、落ち着いて走ろう、と自分に言い聞かせた。

服部勇馬選手(デイリー、報知)

3位 大迫傑選手
トレーニングはしっかりとできていたので、自身はありましたけど、最後は正直なところ力負けです。それを真摯に受け止めて、今後しっかりとやっていきたい。(設楽選手が抜け出した)前半はちょっと心の中で焦りがあったんだと今は思っています。ラスト1000mぐらいから仕掛けられたらいいなと考えていたんですけど、中村選手がスパートをかけた時はもういっぱいいっぱいでした。
重圧がなかったといえば、うそとなる。焦ってしまったのはまだまだ心の弱さ。(3位という内定ではないポジションについて)今後は待つしかないのか
、ファイナルチャレンジで自己ベストをもう1回狙っていくのかはコーチと相談していければと思います。

大迫傑選手(文春オンライン、毎日新聞、朝日新聞)

4位 大塚祥平選手
自分ができるレースはした。4位は出来すぎ。悔しくないわけではないが、力は出し切ったので悔いはない。

大塚翔平選手(毎日新聞、西日本スポーツ)

6位 竹ノ内佳樹選手
7月に頸の疲労骨折が判明し練習を中断していました。やはり、マラソンは調整力。MGCで6位に入れたのも清水監督のおかげです。

竹ノ内佳樹選手(本人Twitter)

7位 鈴木健吾選手
暑い中、皆さんの応援がとても力になりました。出場選手の中では1番力がないと思っていたので、しっかりチャレンジして行こうという気持ちで臨みました。レースではチャレンジ出来たとは思っていますが、最後は走力の差を痛感しました。また鍛え直してチャレンジして行きたいと思います。応援ありがとうございました。(富士通陸上競技部公式サイト)
集団の前に出てペースを上げてみたり、いろいろトライはしたんですけど、最後は力の差が出たなと思います(4years)

鈴木健吾選手(富士通陸上競技部公式サイト、4years)

8位 中本健太郎選手
(33キロ過ぎに第2グループの先頭に立ったシーンについて)ここしか無いと思った。見せ場は作れた。駆け引きもあり、楽しかった。今後については、しばらく休養に入るので、そこから考えて決めたい。

中本健太郎選手(毎日新聞)

9位 藤本拓選手
ここまで暑いレースが初めてだったので、スタミナが切れて後半は苦しくなった。沿道から大きな声援をもらい最後まで諦めず、僕自身の走りに集中して走り切ることができたと思う。最後は力不足で9位という結果に終わったが、(チームメートの)服部が2位で五輪出場を決めてくれたので、それは素直に喜びたい。残り1枠を目指し彼に負けない気持ちで次のレースに挑みたい

藤本拓選手(東日新聞)

14位 設楽悠太選手
やりきりました。25km地点で厳しい感じでしたけど、あまり良く覚えていないです。思う通りのレースはできたと思いましたし、後ろから来ることも予想はしていました。今は休みたいです。後悔はないです。

設楽悠太選手(朝日新聞)

15位 堀尾謙介選手
2集団にどこまでついていけるかを目標に頑張ったが、最後はスタミナが尽きてしまった。自分ではもう少しやれると思っていたが、力不足だったし、マラソン経験がまだ足りないと感じた。後半に勝負する力が必要。もう一度、仕切り直して挑戦者として次のレースに臨みたい。4年後の五輪選考方法も同じような形になると思うので、今回は良い経験が積めたと思う

堀尾謙介選手(東日新聞)

17位 神野大地選手
今日までやるべきこと、努力を積み重ねてきた。力を出しきれなかったわけじゃないと思っている。力を出し切った結果だと思う。(14-15キロの)ペースが上がったときに、1-2キロでも我慢してついていければ...。もっと上を目指して力をつけていく必要がある。

神野大地選手(The Answer スポニチ)

23位 佐藤悠基選手
やっぱりマラソンって難しいなっているのを改めて感じたレースでした。8月頭と9月に体調を崩して、自分の中で大丈夫って思ってあげてきたので、そういうところでごまかしがきかないなと感じた。最後、チャンスがあるので、ミスなくしっかりと体を作っていきたいなと思います。(設楽選手が飛び出したことについて)焦りはもう、ある程度走られた時点で(あった)。20km過ぎてすでに足が痙攣していた。

佐藤悠基選手(朝日新聞)

25位 今井正人選手
後半は思い通り行かないシーンになってしまったので、そういう意味で悔しいというか、情けないレースになった。やっぱり最後までゴールまで来ないと次につながらないんじゃないかと思った。だから、絶対に最後まで行くぞと思って走っていた。

今井正人選手(The Answer)

27位 井上大仁選手
(最下位に終わったことについて)自身を持って挑んだが、なぜかわからない。今は何も考えたくない。前半から体が動かず、もどかしかった。考えても仕方ない。ファイナルチャレンジに向かうしかない。悔しいというより、戸惑いがある。

井上大仁選手(毎日新聞)

DNF 荻野皓平選手
このMGCに向けてしっかりとした練習ができていて調子は良かったです。暑さからか、走り出すと早い段階で足にきてしまい、途中棄権という結果になってしまいました。

荻野皓平(富士通陸上競技部公式サイト)

MGC関係者のコメント(番外編)

駒澤大学 大八木弘明監督(中村匠吾選手のコーチ)
ずっとテレビで見ていて、残り1キロで行こうかと思ったが、テレビ見ててハラハラしちゃって、涙が出て行けなかった。駒大から五輪選手を出したいと思っていたが、ずっと世界陸上までで。25年間夢だった。

大八木監督 (デイリー)

青山学院大学 原晋監督
いっときですね、箱根がマラソンランナーをつぶすというようなことを言ってきた評論家もいました。決してそんなことはないんだと。箱根駅伝がマラソンの強化につながっていくんだっていうことを、彼ら2人(中村匠吾選手、服部勇馬選手)が証明してくれましたよね。

原監督 (デイリー)

  • この記事を書いた人

KOTA

戦略コンサル業の引退を機に2020年(34歳)より本格トレーニングを再開。 マラソン3時間12分39秒、5000m17分53秒だった私が、30代後半でマラソン2時間30分切り、5000m14分台、1500m3分台の全ての達成を目指す挑戦を記していきます。

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