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GMOアスリーツのニューイヤー駅伝参入

GMOアスリーツは7月24日ニューイヤー駅伝への参入を表明しました。これまで個人競技で世界でNo.1を目指すと公言してきたGMOアスリーツですが、発足後3年が立ち、新たな方針で取り組んでいくものと思われます。

一方で、ニューイヤー駅伝優勝2回を誇る日清食品グループは2019年で駅伝参加を終了し、世界を目指す選手の競技生活をサポートする体制に切り替えることを発表しています。また、2018年には当時瀬古利彦氏が率いていたDeNAランニングクラブも、トラック競技、およびマラソンに集中することを目的に駅伝から撤退しました。

GMOアスリーツの動きは日清食品やDeNAとは逆となっていることが非常に興味深いです。

GMOの駅伝参入

突然の駅伝参入表明

GMOアスリーツは7月24日、駅伝へ参入することを発表し、「所属選手10人が一丸となり、2020年1月1日に開催されるニューイヤー駅伝初出場、初優勝を目指す」ことを発表しました。

これまで、「世界でNo.1を目指すアスリートを目指す集団」を標榜してきた流れがあり、近年は青山学院大の卒業生を中心に一流ランナーの入部も続いています。東京オリンピックに向けては、GMOから長距離種目(5000m,10000m,マラソンなど)で選手を輩出するのはなかなか厳しい状況になってきてはいますが、9月15日に開催されるMGCなど、東京オリンピック選考はこれから佳境に入っていきます。そんな中でのニューイヤー駅伝参戦表明は少し意外に感じました。

花田監督は、2016年のGMOアスリーツ発足当時、将来的な駅伝参入は否定していませんでした。しかし同時に「個人の戦いが優先される」旨を表明していましたので、今後どのようなスタンスでニューイヤー駅伝に参入するか注目したいと思います。

関係者のコメント

内外からそろそろ駅伝はどうかという声をもらっていた。個人以上に、チーム一体で取り組むことで力は数十倍になる。ならばここで駅伝に挑戦しようと意見がまとまった。やるからにはナンバーワンを目指す。(ニューイヤー駅伝)初出場初優勝を掲げて取り組んでいきたい。

花田勝彦監督

今回GMOがニューイヤ―駅伝に挑戦することで、他のチームは戦々恐々していると思う。陸上界の発展、世界で戦える人材の発掘につながると思う。

原晋アドバイザー

日清食品陸上部の縮小

日清食品陸上部による突然の活動縮小発表

GMOアスリーツの駅伝参入の報を聞き、年明けの衝撃ニュースを思い出しました。日清食品グループは2019年1月11日付プレスリリースで、今後チームとして駅伝競走大会への出場をしないことを発表しました。当時14名在籍していた選手のうち、MGCに出場予定の佐藤悠基選手、村澤明伸選手以外には退部勧告をするという衝撃の内容でした。12選手は、他チームへの移籍、引退など各々の決断をした上、新年度を迎えています。

錦織圭選手や大坂なおみ選手といった世界トップのアスリートのスポンサーを担う中、世界で戦うことが難しい状況にある陸上長距離の運営について、費用対効果の面からメスを入れたのではないかと言われています。日清食品は「今後は、世界を目指す選手の競技活動をサポートする体制に切り替える」とも明言しており、GMOアスリーツと対照的な動きが改めてクローズアップされた形となりました。

2019年1月時点在籍選手の動向

佐藤悠基(東海大):MGC、東京マラソン2020に出場後SGHへ移籍
村澤明伸(東海大):2021年1月時点在籍中→年齢を考慮し、このまま在籍・引退もあるか?
高瀬無量(山梨学院大):引退(社業に専念。日清食品が主催する全国小学生陸上交流会の運営に携わる)
三浦洋希(東北大):2021年1月時点在籍中。年齢から移籍の可能性が高そう
小野裕幸(順天堂大):引退
若松儀裕(東洋大):引退の上、日清食品営業に従事
徳永照(中央大):引退?
我那覇和真(神奈川大):コニカミノルタへ移籍
戸田雅稀(東京農大):サンベルクスへ移籍
中谷圭佑(駒澤大):コモディイイダへ移籍→2020年に引退
町澤大雅(中央大):サンベルクスへ移籍
武藤健太(国士舘大):JR東日本へ移籍
矢野圭吾:カネボウへ移籍
バルソトン・レオナルド:不明

以下は撤退発表当時の内定者(当時大学4年生)
住吉秀昭(国士舘大):内定取り消しによりスバルへ入社
永戸聖(山梨学院大):内定取り消しにより日立物流へ入社

GMOアスリーツはニューイヤー駅伝で勝てるか

必ずしもトラックの記録の積み上げ=駅伝の結果ではないですが、10000mの記録をベースにGMOアスリーツの現有戦力をニューイヤー駅伝3連覇中の旭化成、トヨタ自動車と比較してみました。

こうみると、GMOアスリーツの林奎介選手や森田歩希選手がいかにロードに強いと言っても、旭化成やトヨタ自動車とは少し戦力に乖離がありそうです。旭化成はピークを過ぎた選手もいますが27分台の選手の層が厚く、相澤晃選手が加入予定ですし、トヨタ自動車は外国人ランナーや服部勇馬選手などゲームチェンジャーの質が高く、28分台前半の若手も充実しています。富士通なども新戦力が充実していますので、GMOアスリーツは流れに乗って3-5位を狙っていくというのが現実的な線でしょうか。

GMOアスリーツ:平均28分36秒(2019年7月時点)

キプキルイビクターコリル(ケニア)28分5秒
一色恭志(青山学院大)28分23秒
倉田翔平(上武大)28分29秒
下田裕太(青山学院大)28分33秒
渡邉利典(青山学院大)28分35秒
橋本崚(青山学院大)28分35秒
山岸宏貴(上武大)28分40秒
林奎介(青山学院大)28分40秒
森田歩希(青山学院大)28分44秒
近藤秀一(東京大)29分13秒

旭化成:平均27分55秒(2019年7月時点)

村山紘太(城西大)27分29秒
鎧坂哲哉(明治大)27分29秒
村山謙太(駒澤大)27分39秒
アブラハム キャプシス キプヤティチ(ケニア)27分44秒
大六野秀畝(明治大)27分46秒
市田孝(大東文化大)27分53秒
深津卓也(駒澤大)27分56秒
市田宏(大東文化大)28分23秒
茂木圭次郎(拓大一高)28分25秒
丸山文裕(大分東明高)28分27秒

トヨタ自動車:平均28分00秒(2019年7月時点)

ニコラス・コシンベイ(ケニア)27分2秒
宮脇千博(中京高)27分41秒
大石港与(中央大)27分48秒
窪田忍(駒澤大)27分54秒
早川翼(東海大)28分6秒
服部勇馬(東洋大)28分8秒
藤本拓(国士舘大)28分8秒
山本修平(早稲田大)28分14秒
松本稜(高知工業高)28分15秒
山藤篤司(神奈川大)28分19秒
田中秀幸(順天堂大)28分27秒

  • この記事を書いた人

KOTA

戦略コンサル業の引退を機に2020年(34歳)より本格トレーニングを再開。 マラソン3時間12分39秒、5000m17分53秒だった私が、30代後半でマラソン2時間30分切り、5000m14分台、1500m3分台の全ての達成を目指す挑戦を記していきます。

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