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ホクレンディスタンスチャレンジ網走大会 男子10000m A組

北海道の5都市を転戦するホクレンディスタンスチャレンジですが、7月22日の網走大会ではMGCに出場予定の4選手(大迫傑選手、設楽悠太選手、佐藤悠基選手、河合代二選手)が10000mに揃い踏みしました。他にも10000m日本歴代2位の記録を持つ鎧坂哲哉選手、2019年の日本選手権10000mチャンピオンの田村和希選手、箱根2区での日本人最高記録を更新した塩尻和也選手、旭化成のエース市田孝選手など超豪華メンバーでのレースとなりました。

スタートリスト↓(陸連ホームページより抜粋)

そんななか、全体トップとなったのは創価大のムソニ・ムイル選手。田村和希選手がムソニ・ムイル選手に胸差の2着、大迫傑選手が僅差の3着となりました。田村和希選手は6月に開催された日本選手権の10000mも制しており、トラックにおいては現状日本人最強と呼んで良い存在になったと思います。レース後インタビューでは「2020年は東京マラソンにも挑戦したい」ということでしたので、ますます期待が高まります。

ホクレンディスタンスチャレンジ網走大会 男子10000m A組の結果

1着 ムソニ・ムイル(創価大学)27:57
2着 田村和希(住友電工)27:57
3着 大迫傑(Nike)27:57
4着 ピーター・ランガット(SGH)27:58
5着 鎧坂哲哉(旭化成)28:03
6着 佐藤悠基(日清食品)28:08
7着 サイモン・カリウキ(戸上電機製作所)28:15
8着 サイディム・サイモン(中央発條)28:15
9着 設楽悠太(HONDA)28:17
10着 市田孝(旭化成)28:25
11着 塩尻和也(富士通)28:28
12着 河合代二(トーエネック)28:38

1キロごとのラップ(アナウンスベース)は以下↓
2’47”-2’45”-2’47”-2’50”-2’49”(前半5000m 13’59”)
-2’49”-2’50”-2’46”-2’50”-2’42” (後半5000m 13’58”)

レース展開

超豪華メンバーでの開催ということもあり、照明や観客も多く野外イベントのような様相のなか、ホクレンディスタンスのシリーズ最終大会のオオトリとなった男子10000m A組は19:40にスタート。この日は涼しかったのですが、昼から風が強く、ホームストレートでの強風が選手達をナーバスにさせたかもしれない。MGC出場予定の4人以外の日本人ランナーは27分40秒という、ドーハ世界選手権の参加標準記録突破を目指していたからだ。

スタート後、1000mの通過は2分47秒。強風下においては、まずまずの滑り出し。市田孝選手がペースメーカーの後ろで積極的にレースを進め、設楽悠太選手、田村和希選手などが続く。マラソン日本記録保持者の大迫傑選手は最後方からのスタート。3000mの通過は8分20秒と順調に流れた。しかし、やはり強風の影響か、3000-4000mが2’50”、4000-5000mが2’49”とペースが上がらない。5000mの通過は13分59秒。この時点で、世界選手権の標準記録突破は厳しくなり、レースの興味は外国人ランナーを含めたトップ争いへ移る。

5000mを過ぎて、外国人ランナーの前に出たのは鎧坂哲哉選手。佐藤悠基選手もポジションを上げ、鎧坂哲哉選手との間に外国人ランナー2人を挟んで全体の4番手へ。この時点でペースメーカーは完全に役割を果たせなくなり、全選手がペースメーカーの前へ。強風の中、記録を狙う選手たちには更に厳しい展開となってしまった。

河合代二選手を除く全員が27分台の自己ベストを持つこともあり、6600mまでは全選手一団で流れる。流れを変えたのは佐藤悠基選手。レースが中だるみを始め、1周のラップが68秒台に落ちる中、先頭に立ちラップを66秒台に押し上げる。このペースアップに対応できた日本人選手は、大迫傑選手、田村和希選手、鎧坂哲哉選手の3人。外国人ランナー2人とのサバイバルレースとなりました。

佐藤悠基選手が4周ほどを引っ張ったものの、7800mで佐藤悠基選手との差を詰めてきたのは大迫傑選手。残り4周で満を持してトップへ。佐藤悠基選手、鎧坂哲哉選手は粘りきれず、9000m時点でトップグループは大迫傑選手、田村和希選手、ピーター・ランガット選手、ムソニ・ムイル選手の4選手に。

ラスト1周の鐘がなり、第3コーナー付近で早めに抜け出した外国人2選手を、大迫傑選手、田村和希選手が最終コーナー手前から一気に追い上げます。大迫傑選手はピーター・ランガット選手をとらえられたものの、ムソニ・ムイル選手まではやや距離があるか。そんな中、残り50mで猛然と追い上げてきたのは日本選手権チャンピオンの田村和希選手。大迫傑選手をかわし、1着を確信し両手を上げるムソニ・ムイル選手を追い詰めるスパートを見せるが、胸差及ばず2着でゴール。3着の大迫傑選手まで、1-3位までが0.5秒差につまる見ごたえあるスパート合戦でした。ムソニ・ムイル選手は田村和希選手の追い上げには気づいていない様子でしたから、田村和希選手は非常に惜しかったですね。

レース後、田村選手は「ドーハの参加標準記録を突破できなかったのが非常悔しい。もしそれが無理だった場合は、トップを取って東京マラソンに向けて行く予定だったが、トップも取れなかったのが悔しい」と語りました。この大会で大迫選手、設楽選手、塩尻選手などを抑えて日本人トップとなったことで、田村和希選手は長距離トラック競技においては日本最強となった感がありますが、冬シーズンにはマラソンにも挑戦したいとのことで、期待が高まりますね。

レース後コメント

(世界選手権の)派遣標準記録切りを狙っていましたが力不足でした。日の丸を背負ったことのある選手は違うなと感じました。東京オリンピックを目指してもっと覚悟を持ってやっていきたいです

田村和希選手(4 years)

練習の一環として淡々と走りました。体もよく動いていていいレースになったと思います。MGCは、自分を見失わず謙虚な気持ちでチャレンジしていけたらと思います

大迫傑選手(4 years)

トレーニングの一環として走りました。目標タイム的には28分20秒ぐらいでいったんですがけっこう余裕がありました。MGCに向けてやれることをしっかりやって、やってきたことを出せるようにしていきたいです

佐藤悠基選手(4 years)

今できる限りの力は出せたのでよかったと思います。いい動きができました。(2週間前に)ゴールドコーストマラソンを走った疲労も特にないです。MGCに向けては、頑張るしかないなと思っています

設楽悠太選手(4 years)

レースの流れに合わせて走り、28分20切りを一つの目標にしていましたが目標よりもかかってしまいましたしかし、今後に繋がるレースだったとは思うのでまた次のレースガンバリます!

塩尻和也選手(Twitter)
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KOTA

戦略コンサル業の引退を機に2020年(34歳)より本格トレーニングを再開。 マラソン3時間12分39秒、5000m17分53秒だった私が、30代後半でマラソン2時間30分切り、5000m14分台、1500m3分台の全ての達成を目指す挑戦を記していきます。

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